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ニキビが出来る理由

私の魅力が足らないということもあるであろうが、秘書の存在も大きいと思う。
電話はすべて秘書に取り次がれる結果、私の異性関係は彼女の把握するところとなる。 誰かと食事の約束をしても、彼女は手帳に、誰と会っていて何時に終るか、などをはっきりなどといろいろ言われると、なんかイヤな感じ。
もちろんプライベートの電話もあるにはあるのであるが、これは夫が受話器をとることがある。 とられてもいい相手ばかりであるが、それでもたび重なるとみんな遠慮してしまうようだ。
が、見よ。 私のバッグの中のケイタイ。

これは未来の恋人と私とをつなぐホットラインではないか。 かけるばかりというのは、いかにも惜しい。
さて、このあいだの誕生日のこと、私はGのメモ帳をもらった。 黒革で小さくてすごくおしゃれなの。
気に入った男性が現れたら、このメモに私のケイタイの番号を書いて渡すことにしよーつと。 当然のことながら、仕事関係、編集者の人たちなんかには絶対に教えないつもり。
Tも例外ではない。 純粋におつき合いしている人にだけ、ケイタイの番号を教えよう。
「あのね、私、やっとケイタイを持ったの」いろんな人に言った。 「へえー、そうなの」とみんな、それがどうした、という感じなのが悲しかった。
が、中には、「じゃ、教えてよ」という人もいて、私はさっそくGのメモ用紙に書いてあげた。 ところが何ということであろう。
あれから10日もたつのに、私のケイタイは、ピーともチーとも鳴らないのである。 今の時代、ケイタイの鳴り具合は人気のバロメーターである。
私はつらく暗い過去をふと思い出す。 大学生の時に、友人のアパートで遊んでいた。

金曜日のこととて、彼女の電話は鳴りっぱなしなのである。 それも私が憧れていたサッカー部の先輩とか、同じクラスのハンサムな男の子とか、次々にかかってくる。
彼女が美人というのなら、まだ我慢出来る。 が、彼女は全然どうっていうことのない野暮ったいじゃないか。
頭にきた記憶がある。 あれから歳月が流れ、私は思う。
この世には、電話をかけやすい女というのが、確かに存在しているのだ。 それはどういう女のコかというと、こちらが電話をかけても決して負担にならないコである。
過大にものごとをとらない、先まわりして人の心を考えない女といってもよい。